楽しみにしていた宝塚版「柳生忍法帖」を観劇してきました!
星組公演『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』の内容
『柳生忍法帖』
タイトル | 宝塚剣豪秘録『柳生忍法帖』 |
原作 | 山田 風太郎「柳生忍法帖」 |
作・演出 | 大野 拓史 |
出演 | 礼真琴 舞空瞳 愛月ひかる 瀬央ゆりあ 他 |
公演期間 | 2021年9月18日(土)~11月1日(月)(宝塚大劇場) |
寛永年間。暴政を敷く会津藩主・加藤明成を見限り出奔した家老・堀主水の一族に、復讐の手が迫る。明成は堀主水の断罪だけでは飽き足らず、幕府公認の縁切寺・東慶寺に匿われた堀一族の女たちをも武力をもって攫おうとする。しかしそれは、男の都合に振り回された生涯を送り、女の最後の避難場所として東慶寺を庇護してきた天樹院(豊臣秀頼の妻であった千姫)には許しがたい事であった。女の手で誅を下さねばならぬ。そう心定めた天樹院は、敵討ちを誓う女たちの指南役として、密かに一人の武芸者を招聘する。将軍家剣術指南役の嫡男ながら城勤めを嫌い、剣術修行に明け暮れる隻眼の天才剣士、柳生十兵衛。女たちを託された十兵衛は、死闘を繰り広げながら会津へと向かう。待ち受けるのは、藩を牛耳る謎の男・芦名銅伯と、銅伯の娘で明成の側室ゆら。果たして十兵衛たちは、凶悪な敵を打ち倒すことが出来るのか…。(出典:星組公演 『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』 | 宝塚歌劇公式ホームページ)
『モアー・ダンディズム!』
タイトル | ロマンチック・レビュー『モアー・ダンディズム!』 |
作・演出 | 岡田 敬二 |
星組公演『柳生忍法帖』のキャスト
柳生十兵衛 | 礼真琴 |
ゆら | 舞空瞳 |
芦名銅伯 | 愛月ひかる |
漆戸虹七郎 | 瀬央ゆりあ |
香炉銀四郎 | 極美 慎 |
トップ以外全員敵方です(^_^;)
星組公演『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』の感想
柳生忍法帖が宝塚風に変身
柳生忍法帖はおなじみ伝奇小説の巨匠山田風太郎の柳生十兵衛三部作の一作目。
ざっくりしたストーリーは上記引用のとおりですが、原作はけっこうどぎついエログロ描写が満載。
この原作をどう料理しているか興味津々でしたが、山風エログロテイストを見事に削ぎ落とした清く正しく美しい宝塚版に大変身しておりましたよ。
ちなみに十兵衛三部作の二作目はジュリーの天草四郎で有名な「魔界転生」です。
礼真琴の柳生十兵衛もなかなかのもの
このポスターの柳生十兵衛、かっこいいですねー
星組トップスター礼真琴の柳生十兵衛もなかなか堂に入ったものでしたよ。
柳生十兵衛といえば先日逝去された千葉真一の十八番でしたが、礼真琴も千葉真一の柳生十兵衛をかなり研究して望んだとか。
眼帯をして片目での殺陣はかなり大変だと思います。怪我しないように・・・
舞空瞳のヒロインはなんと「おゆら」
原作でのヒロインは堀一族の7人の娘たち。宝塚では91期から99期の娘役さんたちが演じているそうです(誰が誰だかわからない・・・)。
原作を忠実にコミカライズしたせがわまさきの『Y+M〜柳生忍法帖〜』ではこんな感じに描かれていますよ。ちなみに原作では「お笛」のことをちょっと頭が足りない娘と書かれてます(^_^;)。
せがわまさき著『Y十M~柳生忍法帖~』(ヤングマガジンコミックス)より
で、この中で誰が一番ということもないんですが(あえて言えばお圭?)、宝塚版のヒロインはなんと敵方のボス芦名銅伯(愛月ひかる)の娘、おゆら(舞空瞳)。
コミックではこんな描写。
せがわまさき著『Y十M~柳生忍法帖~』(ヤングマガジンコミックス)より
芦名銅伯なんて醜悪な老人でもろ悪役顔です。 対して宝塚版芦名銅伯は今公演で卒業の愛月ひかるが演ずるイケメン。悪役テイストもソフトになっていて、敵方には敵方の事情があるんだよ、という描写が追加されています。
一方、原作でのおゆらは藩主加藤明成の情婦であり、物語終盤まで悪役にふさわしい淫婦、姦婦ぷりを発揮しています。そのおゆらが宝塚版ではヒロインだとはオラおでれーた。しかも清楚な舞空瞳ちゃんですぜ。
なにをどうすればヒロインになるんだ・・・と思いきや。
なるほど、確かにおゆらは最後に十兵衛と一瞬心を通わせ非業の死を遂げるキャラであった。
多少強引な感はあるものの、7人娘を全員ヒロインにするわけにもいかないので、それはそれでありなのでしょう。
ちなみに最後におゆらが十兵衛に恋をする唐突な展開に原作未読で臨んだ人は「なんで?」と思うかもしれないが、原作ではおゆらが十兵衛に恋心を抱くまでの伏線がそれなりに張られているので、宝塚版で納得いかなかった人は原作かコミックをお読みいただければと(宝塚版でも一応伏線はあるけど)。
七本槍・鷲ノ巣廉助は極美慎がよかったな〜
敵方会津芦名一族の手練一派、会津七本鎗。残虐非道を繰り返す悪鬼たち。 コミックではこんなふうに描かれてます。
せがわまさき著『Y十M~柳生忍法帖~』(ヤングマガジンコミックス)より
劇中ではあまり固有名称で呼び合ってなかったので、誰が誰かわからなくても問題ないのですが、一応原作では次のような設定。以下、原作で7人娘が倒していく順番で。ちなみに犬使いの犬(天丸・地丸・風丸)は宝塚版では姉を人質に捉えられて無理やり働かされる少年3人に変更。この設定もなかなか泣かせました。
- 大道寺鉄斎(鎖鎌使いの爺)碧海さりお
- 平賀孫兵衛(槍使い)天華えま
- 具足丈之進(犬使い)漣レイラ
- 鷲ノ巣廉助(拳法使い)綺城ひか理
- 司馬一眼房(独眼の巨漢)ひろ香祐
- 香炉銀四郎(顔に傷のある美少年)極美慎
- 漆戸虹七郎(隻腕の剣士)瀬央ゆりあ
・・・・これ、配役間違ってない?
極美慎はどうみても拳法使いの鷲ノ巣廉助でしょう!(笑) 全国の空手×宝塚ファンは全員そう思ってるはず!!(^_^;)
せっかく極美慎の美麗なカラテアクション(予想)が見れたとこやったのになあ。
極美慎推しとしましては、あんまり上手くなかった(失礼)刀での殺陣より、本格的なカラテアクションを極めて欲しかったという。 まあ、美少年役なのでルックスから選ばれたのかもしれませんが・・・
極美慎が将来トップになった暁には、ぜひ「北斗の拳」あたりを舞台化して存分にカラテアクションを魅せて欲しいと願う今日このごろです(笑)。
あ、煉獄さんを主役に設定した宝塚版「鬼滅の刃」で極美慎に猗窩座をやってもらうのももいいですな。トップの煉獄さんとの極真VS刀の対決を見てみたい!
観劇前は原作で予習がオススメ
原作が長編なのでどうしても詰め込み感は避けられない舞台化。 やはり原作(かコミックス)で予習するのがベストです。予め原作補完があればストーリーに戸惑うことなくスターの演技に集中できますよ。
山田風太郎の原作は60年近く前の作品ですが、今読んでも全く古さを感じない傑作です。ぜひこれを機会にご一読をおすすめします。
時間がなければせがわまさきのコミックスも忠実に原作を再現しているのでオススメですよ。
せがわまさき著『Y十M~柳生忍法帖~』(ヤングマガジンコミックス)より
もし宝塚十兵衛が好評だったら、次は宝塚版「魔界転生」ですね!(この場合ヒロインはやっぱりクララお品かな?)
勝手に評価
と、楽しみにしていた『柳生忍法帖』の感想ばかりになりましたが、ショーの『モア―・ダンディズム!』も二番手愛月ひかるの退団公演ということで盛り上がってましたよ。
というわけで、今日の星組公演『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』、★3つ半ということでどうでしょうか。
私的評価 | ★★★☆★ |
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